コラム

大阪市の学童保育・放課後児童クラブの概要|大阪うぐいす行政書士事務所

学童・放課後児童クラブ

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序章

児童福祉法に基づく事業で、一般的に「学童保育」と呼ばれている施設で、法律上の名称は「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」となっています。保護者が仕事や疾病、障害などで昼間家にいない小学生に遊びや生活の場を提供して、健全な育成を図る施設です。
※児童福祉法第六条三の2「放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう。」としています。

事業の内容

・放課後児童の健康管理、安全確保、情緒の安定
・遊びの活動への意欲と態度の形成
・遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
・放課後児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡
・家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
・その他放課後児童の健全育成上必要な活動

開始届提出時の必要書類(大阪市)

1.放課後児童健全育成事業開始届

2.添付書類

  ・収支予算書

  ・事業計画書

  ・職員名簿

  ・有資格者の資格証明の写し又は実務証明書

  ・施設に関する平面図等(平面図・配置図・位置図)

  ・定款その他基本約款

  ・事業者の役員名簿

  ・運営規程

  ・利用者向けパンフレット【任意で参考添付】

対象児童

対象児童はこれまで「小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童」とされていた放課後児童クラブの対象児童が、「小学校に就学している児童」とされ、保護者が就労などの事情で学校の授業が終わった後や夏休みなどの長期休業中に家庭にいない児童に、小学校の余裕教室や児童館などを利用して、大人の見守りのもとで安心して遊びや学び、活動の場を与えることを目的としています。

預かる時間

預かってもらえる時間は、原則として1日3時間以上、夏休みなどの長期休暇期間は原則1日8時間以上です。開所時間は、運営している事業ごとに異なりますが、平日は13時からが多く終了時間は18時~19時の間が多いです。また長期休暇期間の開所時間は8時からが多く、終了時間は18時~19時の間が多いです。

設備基準

  • 専用区画(遊び・生活の場としての機能、静養の為の機能を備えたスペース)を設置
  • 子ども1人につきおおむね1.65㎡以上(大阪市は1.75㎡以上)
  • 室内のレイアウトや装飾、採光等にも配慮し、子どもが心地よく過ごせるように工夫
  • 子どもの遊びを豊かにするため、屋外遊びを行う場所を確保すること
  • 放課後児童支援員等が事務作業や更衣ができるスペース等も求められる
  • 衛生及び安全が確保された設備を備えロッカーや必要な備品、遊具及び図書を備える
  • 年齢に応じた遊びや活動ができるように空間や設備、備品等を工夫する
  • 一事業所の児童の数(集団の規模)は、おおむね40人以下
  • 放課後児童支援員を、支援の単位ごとに2人以上配置
  • 開所日数は、原則1年につき250日以上(大阪市は291日以上)
  • 土、日、長期休業期間等→ 原則1日につき8時間以上
  • 平日→ 原則1日につき3時間以上
その他の設備基準
  • 非常災害対策
  • 児童を平等に取り扱う原則
  • 虐待等の禁止
  • 運営規程
  • 帳簿の整備
  • 秘密保持等
  • 苦情への対応
  • 保護者との連絡
  • 関係機関との連携
  • 衛生管理等
  • 事故発生時の対応 など

衛生管理及び安全対策

(1)衛生管理

  • 手洗いやうがいを励行するなど、日常の衛生管理に努める。また、必要な医薬品その他の医療品を備えるとともに、それらの管理を適正に行い、適切に使用する。
  • 施設設備やおやつ等の衛生管理を徹底し、食中毒の発生を防止する。
  • 感染症の発生状況について情報を収集し、予防に努める。感染症の発生や疑いがある場合は、必要に応じて市町村、保健所等に連絡し、必要な措置を講じて二次感染を防ぐ。
  • 感染症や食中毒等の発生時の対応については、市町村や保健所との連携のもと、あらかじめ放課後児童クラブとしての対応方針を定めておくとともに、保護者と共有しておく。

(2)事故やケガの防止と対応

  • 日常の遊びや生活の中で起きる事故やケガを防止するために、室内及び屋外の環境の安全性について毎日点検し、必要な補修等を行う。これには、遠足等行事の際の安全点検も含まれる。
  • 事故やケガの防止に向けた対策や発生時の対応に関するマニュアルを作成し、マニュアルに沿った訓練又は研修を行い、放課後児童支援員等の間で共有する。
  • 放課後児童支援員等は、子どもの年齢や発達の状況を理解して、子どもが自らの安全を守るための行動について学習し、習得できるように援助する。
  • おやつの提供に際して、食物アレルギー事故、窒息事故等を防止するため、放課後児童支援員等は応急対応について学んでおく。
  • 事故やケガが発生した場合には、速やかに適切な処置を行うとともに、子どもの状況等について速やかに保護者に連絡し、運営主体及び市町村に報告する。
  • 放課後児童クラブの運営主体は、放課後児童支援員等及び子どもに適切な安全教育を行うとともに、発生した事故事例や事故につながりそうな事例の情報を収集し、分析するなどして事故防止に努める。
  • 放課後児童クラブの運営主体は、必ず損害賠償保険に加入し、賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行う。また、傷害保険等に加入することも必要である。

(3)防災及び防犯対策

  • 放課後児童クラブの運営主体は、市町村との連携のもとに災害等の発生に備えて具体的な計画及びマニュアルを作成し、必要な施設設備を設けるとともに、定期的に(少なくとも年2回以上)訓練を行うなどして迅速に対応できるようにしておく。また、外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練など不測の事態に備えて必要な対応を図る。
  • 市町村や学校等関係機関と連携及び協力を図り、防災や防犯に関する訓練を実施するなど、地域における子どもの安全確保や安全点検に関する情報の共有に努める。
  • 災害等が発生した場合には、子どもの安全確保を最優先にし、災害等の状況に応じた適切な対応をとる。
  • 災害等が発生した際の対応については、その対応の仕方を事前に定めておくとともに、緊急時の連絡体制を整備して保護者や学校と共有しておく。

(4)来所及び帰宅時の安全確保

  • 子どもの来所や帰宅の状況について、必要に応じて保護者や学校と連絡を取り合って安全を確保する。
  • 保護者と協力して、地域組織や関係機関等と連携した、安全確保のための見守り活動等の取り組みを行う。

運営規程

事業所ごとに、次の各号に掲げる事業の運営についての重要事項に関する運営規程を定める必要があります。

 事業の目的及び運営の方針

 職員の職種、員数及び職務の内容

 開所している日及び時間

 支援の内容及び当該支援の提供につき利用者の保護者が支払うべき額

 利用定員

 通常の事業の実施地域

 事業の利用に当たっての留意事項

 緊急時等における対応方法

 非常災害対策

 虐待の防止のための措置に関する事項

十一 その他事業の運営に関する重要事項

放課後児童健全育成事業者が備える帳簿

職員、財産、収支及び利用者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備する必要があります。

秘密保持等

1,職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2,事業者は職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

苦情への対応

1,事業者は、その行った支援に関する利用者又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。

 放課後児童健全育成事業者は、その行った支援に関し、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

 放課後児童健全育成事業者は、社会福祉法に規定する運営適正化委員会が行う規定による調査にできる限り協力しなければならない。

開所時間及び日数

1,放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所を開所する時間について、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める時間以上を原則として、その地方における児童の保護者の労働時間、小学校の授業の終了の時刻その他の状況等を考慮して、当該事業所ごとに定めます。

 小学校の授業の休業日に行う放課後児童健全育成事業 一日につき8時間

 小学校の授業の休業日以外の日に行う放課後児童健全育成事業 一日につき3時間

2,放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所を開所する日数について、一年につき250日以上を原則として、その地方における児童の保護者の就労日数、小学校の授業の休業日その他の状況等を考慮して、当該事業所ごとに定めるます。

保護者との連絡

放課後児童健全育成事業者は、常に利用者の保護者と密接な連絡をとり、当該利用者の健康及び行動を説明するとともに、支援の内容等につき、その保護者の理解及び協力を得るよう努める必要があります。

関係機関との連携

放課後児童健全育成事業者は、市町村、児童福祉施設、利用者の通学する小学校等関係機関と密接に連携して利用者の支援に当たらなければなりません。

事故発生時の対応

1,放課後児童健全育成事業者は、利用者に対する支援の提供により事故が発生した場合は、速やかに、市町村、当該利用者の保護者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。

2,放課後児童健全育成事業者は、利用者に対する支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

放課後児童支援員の要件

1,放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所ごとに、放課後児童支援員を置かなければならない。

2,放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに二人以上とする。ただし、その一人を除き、補助員(放課後児童支援員を補助する者)をもってこれに代えることができる。

3,放課後児童支援員は、次の各号のいずれかに該当する者であって、都道府県知事又は地方自治法の中核市の長が行う研修を修了したものでなければならない。

実務経験不要な者

  • 保育士
  • 社会福祉士
  • 幼稚園・小学校・中学校・高校のいずれかの教員免許
  • 大学(短大を除く)や大学院で社会福祉学・心理学・教育学・社会学・芸術学・体育学のいずれかの専門課程を修了している者

実務経験が必要な者

  • 高卒以上で、児童福祉事業での実務経験が2年以上
  • 高卒以上で、放課後児童健全育成事業に類似する事業での実務経験が2年以上あり、市区町村長が適当と認める者
  • 学歴を問わず、放課後児童クラブでの実務経験が5年以上あり、市区町村長が適当と認める者

支援の単位は、放課後児童健全育成事業における支援であって、その提供が同時に一又は複数の利用者に対して一体的に行われるものをいい、一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする。

放課後児童支援員及び補助員は、支援の単位ごとに専ら当該支援の提供に当たる者でなければならない。ただし、利用者が20人未満の放課後児童健全育成事業所であって、放課後児童支援員のうち1人を除いた者又は補助員が同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事している場合その他の利用者の支援に支障がない場合は、この限りでない。

新省令に基づく安全計画策定の規定内容について(令和5年4月1日~努力義務、令和6年4月1日から義務化)

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令の規定による改正後の放課後児童クラブ設備運営基準及び児童福祉施設設備運営基準に基づき全ての放課後児童クラブ等は、令和5年4月より利用する児童の安全を確保するための取組を計画的に実施するための計画を策定しなければなりません。

  • 職員や利用者等に対し、事業所内外の保育活動において安全確保のための指導
  • 設備の安全点検の実施
  • 安全確保に係る取組等を確実に行うための研修や訓練を計画的に行う
管理者の義務
  • 策定した安全計画について職員に周知し研修や訓練を定期的に実施
  • 保護者に対し、入所時等に児童の安全計画に基づく取組の内容を説明し周知する
  • PDCA サイクルの観点から、定期的に安全計画の見直し及び必要に応じて変更を行う
安全計画の策定について

放課後児童クラブは、安全確保に関する取組を計画的に実施するため、各年度において当該年度が始まる前に下記事項の年間スケジュール(放課後児童クラブ等の活動安全計画)を定める必要があります。安全計画の作成に当たっては「いつ、なにをすべきか」を具体的に整理し、必要な取組を安全計画に盛り込みます。

  • 事業所・施設の設備等の安全点検
  • 事業所内外での放課後児童クラブでの活動
  • 取組における職員や児童に対する安全確保のための指導
  • 放課後児童クラブ等職員への各種訓練、研修などの児童の安全確保に関する取組
児童の安全確保に関する取組について
①安全点検について

(1)施設・設備の安全点検

  • 備品、遊具等や防火設備、避難経路等は定期的に安全点検を行うとともに、点検結果について文書として記録した上で、改善すべき点があれば速やかに改善する。特に、児童の日常の遊びや生活に使用される設備等については、毎日点検し、必要な補修等を行うこと。
  • 点検先は、事業所・施設内のみならず、公園など定期的に利用する場所も含むこと。

(2)マニュアルの策定・共有

  • 活動時において、児童の動きを把握し、必要な声かけを行うなどの事故防止等に向けた取組について、職員間の役割分担を構築すること。
  • 遊具を使用した活動や事業所内外の活動等、事故等のリスクが高い場面での職員が気をつけるべき点、役割分担を明確にすること。
  • 緊急的な対応が必要な場面(災害、不審者の侵入、火事・ケガ(119 番通報)等)を想定した役割分担の整理と掲示、保護者等への連絡手段の構築、地域や関係機関との協力体制の構築などを行うこと。
  • これらをマニュアルにより可視化し、放課後児童クラブ等の運営に関係する全ての職員に共有すること。
②児童・保護者への安全指導等

(1)児童への安全指導

  • 児童の年齢、発達や能力に応じた方法で、児童自身が安全や危険を認識し、災害や事故発生時の約束事や行動の仕方について学習し、習得できるよう援助すること
  • 児童館においては、乳幼児の保護者に対して、家庭における安全教育に関する情報提供を行うこと
  • 地域の関係機関と連携し、交通安全について学ぶ機会を設けること

(2)保護者等への周知・共有

  • 保護者に対し、放課後児童クラブ等において策定した安全計画やマニュアル等の安全に関する取組内容を周知・共有すること。
  • 日常生活においても、児童の安全に係るルール・マナーを遵守することや、送迎バスや自転車、公共交通機関で来所・帰宅する児童の保護者には、来所及び帰宅時の安全確保の観点から、交通安全・不審者対応について児童が通所時に確認できる機会を設けてもらうことなど、保護者と連携し、放課後児童クラブ等における活動外においても、児童の事故等の防止につなげること。
  • 放課後児童クラブ等において策定した安全計画やマニュアル等の安全に関する取組内容について、必要に応じて地域の関係機関と共有すること。
  • また、児童の安全の確保に関して、保護者との円滑な連携が図られるよう、安全計画及び放課後児童クラブ等が行う安全に関する取組の内容について、公表しておくことが望ましいこと。

③実践的な訓練や研修の実施

  • 避難訓練は、地震・火災だけでなく、地域特性に応じた様々な災害を想定して行うこと。
  • 救急対応(心肺蘇生法、気道内異物除去、AED・エピペン®の使用等)の実技講習を定期的に受け、放課後児童クラブ等内でも訓練を行うこと。
  • 不審者の侵入を想定した実践的な訓練や 119 番の通報訓練を行うこと。
  • 自治体が行う研修・訓練やオンラインで共有されている事故予防に資する研修動画などを活用した研修を含め、研修や訓練は放課後児童クラブ等の運営に関係する全ての職員が受講すること。
  • 災害等の発生に備え、定期的に実践的な訓練や、研修を行うこと。
④再発防止の徹底
  • ヒヤリ・ハット事例の収集及び要因の分析を行い、必要な対策を講じること。
  • 事故が発生した場合、原因等を分析し、再発防止策を講じるとともに、①(1)の点検実施箇所や①(2)のマニュアルに反映した上で、職員間の共有を図ること。

安全確保に関する取組を行うに当たっての留意事項

  • 遊具を使用した活動や事業所内外の活動等、事故等のリスクが高い場面での対応を含む事業所内外での事故等を防止するための、職員の役割分担等を定めるマニュアルや、緊急的な対応が必要な場面(災害、不審者侵入等)時における職員の役割分担や保護者への連絡手段等を定めるマニュアルの策定が不十分である場合は、速やかに策定・見直しを行うこと。
  • 事業所内、遠足等の事業所・施設外活動時においては特に、常に児童の行動の把握に努め、職員間の役割分担を確認し、見失うことなどがないよう留意すること。
  • 児童を取り巻く多様な危険を的確に捉え、その発達の段階や地域特性に応じた取組を継続的に着実に実施する必要があること。例えば、災害については、地震、風水害、火災に留まらず、土砂災害、津波、火山活動による災害、原子力災害などを含め、地域の実情に応じて適切な対応に努められたいこと。
  • 放課後児童クラブ等において、独自にバス等による送迎サービスを実施している場合についても、放課後児童クラブ等が実施し、提供するサービスである以上は、活動時間外であるとしても、常に児童の行動の把握に努め、職員間の役割分担を確認し、児童の見落としなどがないよう対応が必要であること。このため、①点呼による乗降時の児童の人数確認、②車を離れる前に、最後列の椅子の下まで見落としがないか確認、複数の人の目による確認(ダブルチェックの徹底)等を徹底すること。
  • また、令和5年4月より、放課後児童クラブ等において送迎用バスを運行するときは置き去り防止への対応として、点呼等による確認を義務づけることとしており、規定に沿って適切に対応すること。